北九州の老舗かしわ屋がつくった「黒瀬のスパイス」全魅力を公開!
福岡県北九州市にある老舗の鶏肉専門店「かしわ屋くろせ」が販売し、話題となった「黒瀬のスパイス」。
キャンパーの間で「かけるだけで味が決まる!」とYouTubeを中心に広まり、今では定番キャンプスパイスとしての不動の地位を獲得しています。
人気の秘密は、あらゆる料理への合わせやすさ。複数のスパイスに醤油の旨みが重なり、鶏肉はもちろん、牛肉や豚肉、魚や野菜まで、素材の旨みをぐっと引き立ててくれます。持ち運びに便利な瓶入りで、家庭の台所からアウトドアのお供まで、さまざまなシーンで活躍する魔法のスパイスです。
今回は、この「黒瀬のスパイス」を生み出した「かしわ屋くろせ」の代表、黒瀬善裕(くろせよしひろ)さんにお話を伺いました。誕生秘話から、研究を重ねてたどり着いた使い方のコツ、おすすめ料理やお店の様子まで、「黒瀬のスパイス」と「かしわ屋くろせ」の魅力を余すところなくお届けします。
創業76年、地域に愛され続ける老舗の歴史
―「かしわ屋くろせ」について教えてください。
鶏肉販売店として、1950年に私の祖父が「かしわ屋くろせ」を始めました。
八幡大空襲で被害に遭い、復興途上だったこの場所(福岡県北九州市八幡西区黒崎)で店を構えたと聞いています。
ちょうど国内でブロイラーが出回り始めた時期で、料理人でもあった祖父は、それを使って唐揚げの販売を始めました。
当時と変わらない製法で揚げている唐揚げは、今でもうちの看板商品。ほかにも多種多様なお惣菜を取り揃えていますが、手作りの鶏惣菜はどれも根強い人気です。
令和になっても変わらぬ味を求めて、何十年と通ってくださる常連さんがたくさんいらっしゃいます。
熊手銀天街に創業し、祖父、父、私と受け継ぎながら76年が経ちました。小倉にある「旦過市場店」も50年の歴史があり、本店の黒崎とはまた違った雰囲気で、いつも多くのお客様で賑わっています。
―店名にもある「かしわ」とは?
九州地方では「鶏肉」のことを親しみを込めて「かしわ」と呼びます。
◀熊手銀天街店はリニューアルし、より多くのお惣菜を楽しんでもらえるよう店舗拡大しています。
▶旧店舗では新鮮な精肉の販売をおこない、新店舗では揚げたてのお惣菜を取り揃えています。(画像は新店舗内)
プロも通う生活市場「旦過市場」の深い魅力
―「旦過市場店」にも先ほど伺ったのですが、市場自体の活気がすごいですね。
平日も常に賑わっていますが、土曜日は通路が通れなくなるほどの活気です。
過疎化が進む日本の市場の中で、これだけ多くの人が集まるのは、
旦過市場が観光地としてではなく、地元の方々の「生活市場」としてしっかり成り立っているからだと思います。
旦過市場はプロの料理人が仕入れに来る市場としても有名で、例えば八百屋だけでも7、8軒あります。
野菜に関してもそれぞれに得意分野があり、スーパーにはない珍しい食材も、旦過市場なら揃うんです。
魚屋や肉屋、うちのような総菜屋まで、それぞれがその道の得意分野で勝負しています。
「ぬか炊き屋」って他地方ではあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、旦過市場の中にはいくつも専門店があって、各店がこだわりの味を出しています。
だからこそ、プロの料理人もこぞってやってくる。
旦過市場の魅力は本当に深くて、中身を知れば知るほど楽しくなる市場です。
―かしわ屋くろせ 旦過市場店では、ガラスケースにたくさんの焼き鳥が並んでいます。奥深く魅力たっぷりの旦過市場を、焼き鳥片手に散策するのも一興。
たくさんの焼き鳥の中でも「黒瀬のスパイス」がかかった豚バラはお薦めの美味しさです。
―旦過市場は現在(2026年7月現在)、一部建て替え中。
2026年から2027年春にかけて「旦過市場いちばん館」が一部開業予定。また2028年春には北九州市立大学の旦過キャンパス(仮称:情報イノベーション学部)もオープンします。
地域とともに歩むキャンパスが加わることで、旦過市場自体が新たな価値を生み出す拠点として生まれ変わります。
カウンター6席にこだわる、絶品「鶏カツ丼」
―旦過市場店の隣にある「鶏カツ丼」のお店についても教えてください
隣には、鶏カツ丼が食べられる「とりかつ丼の黒兵衛」を作りました。こちらもおかげさまで30年になります。
私自身が無類のカツ丼好きで、どうしても納得のいく「鶏のどんぶり」のお店を出したくて、研究を重ねて作り上げたお店です。
揚げたてサクサクのチキンカツを味わっていただきたいので、注文を受けてから一つひとつ丁寧に作ります。
そのため、カウンターが6席のみのこぢんまりとした造りにしています。
アツアツのチキンカツにとろりとした卵が絡む「鶏カツ丼」は絶品です。多くの方に食べていただきたいため、旦過市場店ではイートイン、熊手銀天街店ではテイクアウトでご用意しています。
―かしわの魅力がつまった3つのお店。
地域に根付いたお店ゆえに、普段の常連さんは地元の方が中心ですが、世代を問わず遠方からもわざわざ買いに来られる商品が「かしわ屋くろせ」にはあります。
それこそが、メディアでも大きな話題となった「黒瀬のスパイス」です。
鶏肉を知り尽くした先代が求めた“肉に合う味”
―「黒瀬のスパイス」の誕生について教えてください。
先代である父が「鶏肉に合うスパイスを作りたい!」と、食品会社と一緒に開発しました。
最初に試食した時は、「これはあらゆる料理に使える!」とその美味しさに驚いたのをよく覚えています。
鶏肉の性質を誰よりも知る父だからこそ、隠し味に醤油を入れるなど、“肉の旨みを引き出す味”を徹底的に追求して作ったのだと分かりました。
当時は居酒屋部門もあったため、お店のメニューに「黒瀬のスパイス焼き」を取り入れるなど、積極的に活用していました。
その中で、鶏肉だけでなく豚肉や牛肉の味も劇的に引き立つこと、そして、いろんな調味料を加えすぎず、シンプルに焼いてかけて食べるのが一番美味しいことに気づいたんです。
まだその時は「自慢の品」ではあったものの、あくまで北九州にある一軒のかしわ屋のオリジナル商品。
ですから、現在のように全国のお客様に買っていただけるようになるとは、考えてもいませんでした。
アウトドア発、YouTubeが広げた全国へのご縁
―「黒瀬のスパイス」が全国に知られたきっかけは何だったのでしょうか?
テレビに取り上げられたことで一気に爆発したのですが、実はテレビ局に注目されたきっかけはYouTubeでした。
若い頃からアウトドアが好きだった私は、キャンプに行くたびに「黒瀬のスパイス」を持参して、友人たちにその美味しさを勧めていたんです。
そうした活動の中で、まずはキャンプ仲間の間でじわじわと口コミが広がっていきました。
また、10年以上前から活用していたYouTubeは、関東の方など九州以外のアウトドア仲間が増えるきっかけにもなりました。
全国の仲間に福岡のお土産としてプレゼントしたり、こちらに仲間が遊びに来る時は「黒瀬のスパイス」を使った料理を振る舞ったりしていたんです。
すると、当時は関東で手に入らない珍しいスパイスということもあって、
「このスパイスがめちゃくちゃ美味しい!」とYouTubeに動画を上げてくれる方が現れて……。
その動画を見た方が、またさらにスパイスを使った動画を投稿してくれるという形で、芋づる式にアウトドア動画へ登場するようになりました。
完全に火がついたのは、YouTubeでの流行を見たテレビ局から取材を受けてからです。
全国放送の反響は凄まじく、一気に何万本と注文が入った時は、本当に信じられない気持ちでした。
同時に、それまで経験したことがないような出荷量になり、現場が大変だったことは語り草になっています。
―にじデパートと繋がったきっかけも、YouTubeからのご縁と聞きました。
そうなんです。にじデパートの営業担当の方が、大のアウトドア好きだったんですよね。
そこから「ぜひうちでも取り扱わせてほしい」と熱心なオファーをいただきました。それまでAmazonなどで本格的に売り出したことはなかったのですが、
御社とパートナーシップを組めたことで、ECモールでも広く販売できるようになりました。
その強固な販売網があったからこそ、テレビで大きな反響があった時も、全国の方々にスムーズにお届けできたのだと思います。
自社のサイトだけで売ろうとしていたら限界がありましたし、あそこまで広く届かなかったはずです。
にじデパートも含めて、YouTubeや野外活動を通じていただいたご縁には、本当に感謝しかありません。
美味しさを引き出す、焼く直前のかけ方とコツ
―黒瀬社長ならではの、「黒瀬のスパイス」の使い方のコツを教えてください。
シンプルにお肉にかけて食べるのが一番美味しいのですが、実は「振るタイミング」で美味しさが大きく変わります。
お肉にスパイスを振る際、焼くまでに時間があいてしまうと、
塩分の影響でお肉の旨みである肉汁がどんどん外に出てしまいます。
だからこそ、スパイスをかけるのは「焼く直前」がベストです。
また、食べる時も「追いスパイス」として少しだけお皿の横に添えて、お好みでちょこちょこと付けながら食べるのがオススメです。
数えきれないほど黒瀬のスパイスを使ってきましたが、この食べ方が素材もスパイスも最も活きて、一番美味しく感じられます。
ただし、アウトドアで定番の「炭火焼き」の場合、この方法だと脂と一緒に網の下へスパイスが落ちてしまいます。
炭火で焼く時に限っては、事前にお肉にかけて30分ほど味を馴染ませてから焼いた方が、味がグッと引き締まって美味しく仕上がります。
素材や調理方法によって少しずつ使い方は変わりますが、網を使わない通常の焼き方(フライパン調理など)であれば、
先ほどお伝えした「直前&追いスパイス方式」をぜひ試してみてください。
卵料理やポップコーン、意外な相性の食材たち
―お肉以外で、相性の良いおすすめの食材はありますか?
お肉以外でイチオシなのは、実は「ポップコーン」です。
市販のポップコーン豆から作ってもいいですし、鍋型になっていて火にかけると膨らむタイプのものにパラパラと振るだけでも、非常に美味しくなります。
手軽なのに、お酒のおつまみにも、お子さんのおやつにも良いですし、ぜひ作ってほしい一品です。
それから「卵料理」にも抜群に合いますね。
目玉焼きには醤油派、ソース派など色々分かれると思いますが、そこにぜひ「黒瀬のスパイス派」を加えてほしいくらい、卵の旨みが引き立ちます。
手軽に絶品、社長イチオシの絶品キャンプ飯
―長年キャンプをしてこられた黒瀬社長の「おすすめのキャンプ飯」を教えてください。
お時間があるときは、ぜひ『自家製ベーコン』にチャレンジしていただきたいです。
通常、ベーコンを作るとなるとソミュール液(漬け込み液)を作って、それに1週間ほど漬け込んで……と工程がとても面倒なのですが、その手間のすべてを省いてくれるのが「黒瀬のスパイス」です。
豚バラブロック肉に黒瀬のスパイスをたっぷり揉みこみ、冷蔵庫で寝かせます。燻製前の塩抜きの必要もなく、手軽なのに味は絶品です。
出来上がったベーコンは、厚切りにしてそのまま焼いて食べるのはもちろん、細かく切ってパスタの具材にしても、味わい深くて感動する美味しさです。
「黒瀬のスパイスを使ったベーコン」があれば、それだけでアウトドアの醍醐味を存分に味わえると思います。
また、もっと手軽なキャンプ飯が良いという方には、「牛肉ともやしの炒め物」をおすすめします。一時期は、私もキャンプに行くたびに必ず作っていた定番メニューです。
手順はいたってシンプルで、牛肉ともやしを炒めて、仕上げに黒瀬のスパイスを振りかけるだけ。牛肉のコクとスパイスの旨みをもやしがたっぷりと吸って、白いご飯との相性が抜群になります。
10分ほどでパッと完成しますので、ソロキャンプにもぴったりです。
―ありがとうございます。黒瀬のスパイスを使って簡単に美味しく作れる品々を、ぜひ挑戦してみたいと思います。
編集後記
多彩なスパイスに、隠し味の醤油が旨みを添える「黒瀬のスパイス」。
実は白ご飯との相性も抜群です。にじデパートのスタッフの間では、このスパイスを混ぜ込んだおにぎりが密かなブーム。暑い夏の塩分補給にもぴったりな、やみつきになる味わいです。
具材がなくても「美味しい!」と心から思えるのは、絶妙に調合された日本人好みの味わいだからこそ。
老舗の「かしわ屋」が生んだ魔法のスパイスは、世代を問わずどなたの舌にも馴染む優しさがあります。
アウトドアの域を超え、家庭の定番調味料として、これからもさらに多くの人へ広がっていくに違いありません。